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自分用うpロダです。
f.txt をダウンロード | リンク用URL 【closeLine×the fifth】 季節は梅雨。時刻は午後21時5分。週末 都会の街は休日前の活気に満ちている。 顔を赤くしたやたら声のでかい中年と 合コンの集まりであろう集団の、男性陣のにやついた顔 疲れきった顔をしたサラリーマン 「うるさいな・・・」 思わず耳を塞ぎたくなるほどのたくさんの声。 都会のこのお祭り騒ぎの週末は、どうしても好きになれない ため息をつきながら一服しようと一角の喫煙所に向かう。 国の運動で、肩身の狭くなった喫煙者達で満員になったそこは 一息つくというよりも、ニコチンがきれてどうしても我慢できなくなった人達が向かう給水所のような場所だと思う。 煙で少し視界の悪いそこでは、自分のお気に入りのタバコの味なんてわからなかった。 ・・・たばこなんていいものじゃない。 頭の中でそう呆れながら 自分と同じような周りを見渡し 残り少ない箱の中のタバコを慣れた手つきで取り出す。 「それにしても遅いな」 いつもなら会社が終わったら真っ直ぐ帰っている時間だが 今日は人と会う約束があり、苦手な週末の街で こうして時間をつぶしている。 集合時刻は21時だ。 時計をみると、21時10分になるところだった 「5分前集合どころか、時間になっても誰も来ないのか。 ・・・適当な奴が多いな」 彼女や友人だったなら、笑ってすませるところだが 俺は少しイラついていた。 今から会うというのは、インターネットの掲示板で出会った 顔も見たこともない、自分を含めた男女5人。 所謂オフ会と言われるものだ。 そういうものに参加するのは初めてだから もしかしたらドタキャンされたのかと少し不安になる。 オフ会といえば、同じ趣味のやつらが集まって それの良さを飲み屋で延々と語ったり 好きな曲をカラオケで合唱したり そういうのがメインの楽しい集まりだと思う。 が、今日俺が参加するのはなんとも陰気な内容のオフ会だ。 インターネットが普及したばかりの一昔前に、 【掲示板で知り合った男女が集団自殺】なんて記事が 新聞やテレビで大きく取り上げられていた。 姿も年齢さえもわからない人々がはじめて顔を合わせて 人生の終わり、死を共にするのだ。 死を家族や大事な人に看取られたい、という所謂常人の考え方 を持った人々にとっては、なんとも奇妙で不気味な記事だったんだろうなと納得をしてしまう。 そう、今日集まるのはその奇妙で不気味な5人だ。 もちろん俺を含めて。 このオフ会に名前をつけるとしても ただの「集団自殺オフ」なわけだ。 もちろんお酒を飲んで騒ぐわけでも、カラオケでストレス発散するつもりもない。 お互いの話を聞きあって、肩を抱き合って前向きになろう会ではなく本当にただ、みんなで死のうという集まり。 今日の目的は、ただそれだけ。 ネットの世界には、アングラ系と呼ばれる 所謂闇の部分がある。 だからといって、何か特別なことをしなければ そこに辿り着けないわけでもなく 特定のワードを入れれば、当たり前のように検索に表示されてしまう 俺自身も、手っ取り早くて面倒じゃない死に方はないかと なんとなく調べているなかで、その掲示板に辿り着いた。 お洒落な筆記体のロゴが迎えてくれる、黒い背景のHP 【Line】 注意書きがあるわけでもなく、サイト名であろうそのロゴの下に「ようこそ」と小さく書かれた入り口がある。 とくに迷うこともなく、その入り口をクリックする。 サイトのTOPページが表示される。 赤いの文字色をしたメニューボタンが二つ並んでいる 【管理人】 【遺書】 管理人、はそのままこのサイトの管理人の挨拶だった。 どうやら個人のサイトらしい。 こういうところには、普通プロフィールが書いてあったりするものだが、 いらっしゃいませ管理人です。 ゆっくりしていってください。 その二行だけが寂しげに書かれていた。 戻ってもう1つのメニューを選ぶ 【遺書】 このままいけば、自分も書くことになるのだろうか そんなことを考えながら、ゆっくりとクリックする そこは、遺書という名前がついただけの、普通の掲示板だった どうやら常連が何人かいるらしい。 どんなやりとりをしているのだろう。 気になって最近のログを読んでみる 掲示板だというのに、それぞれ一人一人が 自分のことを淡々と語っている 毎日のように長い文章を書き込んでいる人もいれば 一行だけのつぶやきを書いている人 狂ったように同じ単語の羅列を書いている人 掲示板というよりも個人の日記のようだ ただその中で共通して何度も出てくるのは 死にたい・消えたいという すべてを終わらせたいという言葉達だった 「・・・何か書き込んでみようか」 みなさんはじめまして。と一度打ち込んで 少し考えてBackspaceキーで消す ここでは、挨拶をする自分のほうが場違いな気がした 【俺にはなにもない 無くなったわけではない はじめから無かったんだと思う】 脈絡もない、支離滅裂な文章を淡々と打ち込む。 ただ浮かんできた言葉をそのまま文章にする 我ながら酷い独り言ができあがった。 投稿ボタンを押す。 「・・なにやってんだか」 自分自身を嘲笑って、いつのまにかいっぱいになった灰皿の中身を片付けようと席を立つ。 独身男の部屋とは思えないよ、と家に来た同僚にいわれたことのあるこの部屋は、自分でいうのもなんだが 本当に綺麗だと思う。 家具や物もほとんどない殺風景な部屋。 せっかくあるクローゼットの中にも 布団と数種類の私服とスーツくらいしか入っていない 自炊なんかしないから、3年すんだ今でも キッチンは入居したときのまま綺麗だ。 たとえば明日事故にあって死んでも 何も恥ずかしいことがない部屋 つまらない部屋 身辺整理なんていうけど あとは退職届を出すくらいか?と思ったりする 灰皿を片付けてPCデスクに向かう。 更新ボタンを押すと、早速新しい書き込みがあった ___________________________________________ 【管理人】 みなさん、いつも当サイトへの書き込みありがとうございます。管理人です。 皆さんの願い、皆さんで叶えませんか。 私はもうこの世には未練はありません リセットをかけてもう一度やり直す気力もなければ 「今回の人生」への執着もありません。 私はリセット=死だと考えます TVゲームは、死んだらやりなおせる なにもなかったようにやり直しがきく そう、だから、今回はただ失敗だっただけ。 次の人生で今度は成功するかもしれませんね。 とてもポジティブで希望のある考えだと思います。 私の意見に賛同してくださるかた 一緒に逝きましょう 最後の選択は貴方達の自由です 生き方はもう選べなくても 貴方達は今、死に方が選べる。 方法も、場所も、最後の晩餐も、服装も、時間も これ以上の自由はきっとこの先存在しないでしょう 参加希望の方は、参加の意思と連絡先を書き込んでください 私の連絡先は090-×××-×××です。 何かありましたらこちらへどうぞ −・・・驚いた。 それは間違いなく集団自殺への誘いだった。 ここに書き込んでいる人の何人かは自殺未遂のや リストカットを経験しているようだ 恐らく乗ってくる人も出てくるだろうな ・・俺自身はと言えば、胸を掻き毟るほどのつらい経験を したこともなければ、特別幸せを感じた経験もない。 彼女がいたこともあったが、ただなんとなく別れて それだけの存在だった。 一ヶ月前に別れた彼女、苗字はなんだったっけな。 小さい頃に両親が事故で死んだ 俺を育ててくれた祖父はおれが高校の頃に死んだ 悲しいと感じなかったわけではないけれど 妙に心は静かで、死というものを変に納得していた 昔から頭のおかしいやつだったなと思う この人達のような切羽詰った死にたい理由は正直ない。 タイミングがきたら、死のうかな。 なんとなくそうするんだろうなと 昔から根拠も無く思っていた 仕事だけの毎日。死にたいほどのストレスではない。 ただ、こんな毎日を生きるのは死にたいくらい詰まらないな、と思う この先いいことがあるかもしれない?幸せは自分で見つけるもの? 30年近く生きてきて見つからなかったものが この先老いていく中で見つけられるのだろうか。 正直、とくにやりたいこともなければ 家族をつくろうとも思わないし 仕事はただ生きるためだけにやっているだけ 生き延びるたびに淡々と同じ作業をこれから続けていくことの 何がそんなに楽しいんだろうか 働かない=生きられない この図式が無限ループするだけ。 物欲も守る人もいない俺にとっては昇進も別に嬉しいことではない ただ、この管理人の書き込みには 同意できる部分が多い。 選べる自由。人生は先のわからない選択肢ばかりで いつもいつも一か八かの不安定。 ただ、この選択肢だけは 確実な方法を選べば、自分の好きなエンドが必ず見れられるわけだ たばこの箱が空になった。 いつのまにか夜が明けている。あと一時間もすれば出勤時間だ 「結局今日は眠れなかったな」 いつも通りの朝自宅をすませ、家を出た。 帰宅できたのは23時過ぎだった。いつものことだ PCを起動させて掲示板をチェックすると常連からの書き込みがあった 全員が、参加しますと連絡先を書き込んでいる 性別と、会う時の簡単な服装の目印もかかれている。 女性が二人、管理人を含めた男性二人 ・・・まるで合コンみたいだな なんだろうか、久しぶりに興味が沸いた。 自分でもよくわからないけれど 恐怖ではなく、心臓が早めに鳴っている気がする 席を立って、一本だけたばこを掴み、ベランダに灰皿をもっていく 雲ひとつ無い空なのに、星はほとんど見えない 道路だけが、明るすぎる電灯で静かに照らされている その一本をフィルターぎりぎりまで吸って 灰皿におしつけた 部屋に戻り、キーボードを叩く 【私も参加させてください】 俺はEnterキーを強めに押しこんだ − 「17分か。やっぱり冷やかしだったかな」 時計を見てため息をつく。 普通のオフ会でも、ドタキャンは多いと聞くけれど 自殺するためのオフ会なんて、そりゃ普通はびびる。 「あー・・帰るか。困ったなー仕事やめてきちゃったのに」 ただ真面目に働いていた俺は、それなりの仕事をもらっていて 部下なんかもついていたりした。 今日の帰り、突然退職届を渡したときの課長の驚いた顔は まさに漫画のようだった。 そりゃそうだ、昨日プロジェクトのリーダーをお願いするよなんて 言われたところだった。 一日考えさせてほしいなんて返事をしておいて まさか次の日に辞められるなんて思わない。 特に恩はなかったけれど、・・・さすがに申し訳なかったかな。 「・・・・・・あの。【Line】のオフの方ですか?」 突然声をかけられてビクッとする。 振り向くと、制服を着た小柄な女子高生が立っていた 「え、あ、はいっそうです」 突然で驚いて、少し間抜けな声で答えてしまう 「よかった!私Ellieです。掲示板の」 Ellie。毎日一行の短い分を書き込んでいた女性だ。 一行だけなのに、なんだか考えさせられるものも多く 密かに感心していた。こんなに若かったのか 当日の服装は制服、そういえば書いてあったかもしれない 「俺・・あ、僕も誰もこないと思って、ちょうど帰ろうとしていたところだったんです 合流できてよかった」 Ellie「あはは、{俺}でいいですよ?えっと・・」 「あ、藤谷です。まだ一回しか書き込みしてないけど・・・」 Ellie「あ、新しく入ってきてた人ですね。名前がそのまま苗字だったから わりと印象に残ってたんですよ。本名なんですか?」 「えっと、はい」 そうか、掲示板のHNに本名のしかも苗字部分を使う奴なんてそうそういないよな。 あまりにカッコいい名前をつけて名乗るのも恥ずかしいが、 なんだかこれはこれで照れてしまう Ellie「とりあえず細かい自己紹介はみなさんと合流してからにしましょう、 向こうのゲームセンターの前にみなさん集まってますので」 「え?皆さんもういるんですか?」 Ellie「そうなんですよ、実は今日の午前中に管理人さんから集合場所の変更が 書き込みされてて。 他の方は確認してそっちに集まってたみたいなんですけど・・・えっと」 「ああ・・申し訳ない。一日仕事に行ってて確認できなくて・・」 Ellie「いやいやしょうがないですよ、他の方には言いづらいですけど・・ それが普通ですもん、ね」 Ellieはナイショですよ?とでもいうように小声で言った。 あの文章を書いていた子と同じとは思えない、 明るくていい子だな、と思った。 Ellie「一応みんなで藤谷さんの携帯に連絡したんですが、なんだかずっと圏外だったみたいで 繋がらなくて」 「え?おかしいな・・なんでだろう」 がさがさと鞄の中をあさって携帯を取り出すと、地面に電池パックが転げ落ちた Ellie「あー・・電池はずれちゃってたみたいですね、私もたまにあります」 「そういえば蓋がもろくなってたっけ・・・俺も確認すればよかったよ」 電池パックを拾い上げて、電源をいれなおすと 着信履歴がたしかに残っていた。 普段あまり携帯をいじらないから、気づきもしなかった 「申し訳ないです、俺の不注意でみなさん待たせちゃって」 Ellie「ん、大丈夫ですよ。皆揃ったのは結局5分くらい前ですし。 電話繋がらなかったのでこれないかと思ったんですが 念のためここきてみてよかったです」 「本当にありがとう。みんなにも謝らなきゃ」 Ellie「あ、じゃあ行きましょうか」 人の多い歩道を渡って歩き出す。 隣には女子高生Ellie。 俺は、といえば最後の格好になるかもしれないというのに Yシャツにネクタイ。 時刻は・・・21時20分。 Ellieの赤いスカーフが、ヒラヒラと揺れている ・・嬉しいが、俺なんかが一緒に歩いてると なんだか悪いことをしたような気分になってくるのはなぜだろうか。 ERIY「あ、ここですよ。みなさんー、合流できましたよー」 ゲームセンターの前に、 テキストファイルの中身を表示しています。
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